高齢社会白書

 昨日発表された内閣府の『高齢社会白書』によると、「家族以外で相談や世話をしあう親しい友人がいない」と老人の31.3%が答えていて、高齢者の孤立が深刻な課題になっているのだという。

 なんだ、ヒトリなのはオレだけじゃないんだ、と素直に思う一方、何かつっかえるものを感じたりする。 ”実はいないほうがいいくせに” と囁く自分がいるのである。

 ”友達100人できるかな"という昔ながらの幸福論に洗脳されるあまり、トモダチがいないことを寂しく思ったり不安に感じたりする気持ちは、この歳になってもある。でも、本当にそれはヘコむべきことなんだろうか。何かそう思わされてるふしはないだろうかと、このごろ感じることが多い。以前より堂々と「友達いない宣言」をする人が増えてきているせいかもしれない。友達がいなくていいなら、それでいいんじゃないか、どうして深刻ぶる必要があるんだろう。

 友達をキープするために、無理して相手のペースに合わせたり、作り笑いをまとわせたり、つい相手の言うままに動いてしまったり、でストレスを溜め込むくらいなら、とついつい「ないほう」を選択している自分がいる。年賀状をきれいさっぱり止めてしまったのも無関係ではない。陰で悪口を言いながら計算高くキープを図るより、いったい誰のためなのか、大切でもないものを大切に見せかけているより、ずっとマシじゃないかと、この歳になると思うんだよね。

 2週間ほどして新聞に載った週刊誌の広告に、「3割が友人ゼロって、何が問題?」と開き直りの見出し。そうなんだよなと共感しかけたら、次の見出しに「60過ぎたら友人もいらない」ときたから、思わず笑ってしまった。これってインチキ医学書のタイトルとおんなじ手口じゃないか。そんなに割り切れるものかね。