スリー・グッド・シングス

 70歳古希になる誕生日から「スリー・グッド・シングス」というメンタル・リセット法を始めた。その日の終わりに、①できたこと ②楽しかったこと ③感謝することを3つ思い出して紙に書くだけ、という拍子抜けするほど簡単なものだが、たぶん天の邪鬼な隠居は、3つ以上書くと効果がない、というひねくれたお約束が気に入ったのだろう。

 初回は、①朝散歩のとき近所の草ゴミを掃除した。②自分へのご褒美にと注文した『日刊イ・スラ』が、誕生日当日にタイミングよく届いた。③久しぶりに「せんしゅう」の牡蠣モダンが食べられた。「せんしゅう」というのは隠居になってから細々と通っているお店だが、ここのお好み焼はなにしろ絶品なのである。

 以前、歌も文も絵もこなすマルチ・アーティストのイ・ランにハマったことがあり、今回もイ・スラには期待していたのだが、残念。これだけは相性ですからね。

 澤田瞳子という人が夕刊連載の「カバンの隅には」で、「日常とはシンプルで、ほんのひとさじ程度の変化だけでいい。そして一日一日が確実に過ぎて行けば、それに勝る幸せはきっとない」と書いていたが、それはまったくもって隠居の心境そのもの。そしてこの「スリー・グッド・シングス」の意図するところでもある。毎日3つも幸せなことを思いつくことができれば、魂は必ず救われようというものじゃないですか。

 それから40日たった今日はこの3つ。

 ①シティライフをがんばって完配した。月に一度届くこの地域情報誌を配って歩くとCD1枚分ほどの謝金をいただける。それもありがたいのだが、70になっても同じように元気に歩けていることが、何よりもありがたい。もう10年、隠居の足腰を支えてくれているお仕事なのだ。

 ②ブラジル・ミナス出身のシンガーソングライター・Wandoヴァンド氏と出会う。名前も知らない人だったが大好きなエミリオ・サンチアゴさんと似た雰囲気で、けっこう聴いていられるんですな。朝のBGMとしてパワープレイ中。ミナス出の歌手といえばミルトン・ナシメントが有名だが、先日、「O Vendador De Sonhos」という曲でポール・サイモンとデュエットしているのを初めて聴いて、ちょっと興奮。翌年のポールのアルバム「The Rhythm Of The Saints」に参加したのはそのお返しなんだろうか。

 ③お3時にオートミールのロールドオーツで焼きおにぎりを作った。オリーブオイルの代わりに米油を使い、めんつゆで味をつけると、これがなかなか美味くてやみつきになる。糖質制限中の定番のおやつになりそうです。