Anna Maria Jopek

 ジャケットはありがちな美人ジャズ・シンガーの雰囲気だが、いや、これはまるで別格の歌姫というべきだろう。

 どうしてこんなすごい才能が知られていないのか不思議だが(自分が知らないと無名だと隠居は思い込んでいるもので)、ポーランドの音楽家、Anna Maria Jopek=アナ・マリア・ヨペックさんである。

 音楽一家で、自身もワルシャワの名門ショパン音楽アカデミーを卒業した後、NYのマンハッタン音楽院でジャズを学んだそうだが、この人の音楽はとてもJAZZの範疇にはおさまらない。エンヤよりもっと独特。スティングと「Fragile」をデュエットしている動画を見たが、こういう歌が実に似合う、と言えば少しは伝わるだろうか。

 かのパット・メセニーと互角にコラボした傑作アルバム『ウポイエニェ』で、国際的に知られるようになったそうだが、ポーランドのゴールドディスクを10回、プラチナディスクを7回獲得し、その国際的な活躍によってポーランド復興勲章まで受けているそうだから、実は凄い人なのである。日本贔屓で、小曽根真とコラボした『HAIKU』というアルバムまであるそうな。

 いま2005年の日本デビュー盤『Secret』をパワープレイ中。朝の茫漠とした頭を包みこむように英気で満たしてくれる声。この声は「トリコ」になる。