Jane Siberry

 日本のサイトが突然閉まって寂しい思いをしていたが、「おしゃれクリップ」で見かけた中島美嘉のアルバムを探しているときに思いがけない復活を知る。これは嬉しい。ほしかったフォーク・クルセダーズの「紀元貳千年」や、はっぴいえんどを手に入れてしばらく楽しむ。でも一筆書きみたいな和モノではだんだん物足りなくなってきた。

 Eliane Eliasの新譜を見つけてから、新顔を追っかけるのもいいけどHDのコレクションを順に更新してみては、と思いたって、Anne Murrayから始めたらこれが当たりだった。

 隠居も大好きなマレーさんの名曲「辛い別れ」を作ったRandy Goodrum氏と出会う。この人は”アダルト・コンテンポラリー”という範疇に入るんだそうな。お気に入りのAORもここに含まれるらしい。しばらくこっち方面の旅を続けてみよう。

 そこでまず見つけたのが、Regina Belleである。どうしてこんな逸材を知らずにいたのだろう、と思ったら、ディズニー・アニメ「アラジン」の主題歌でアカデミー最優秀主題歌賞、という肩書が邪魔していたのかもしれない。今朝もお気に入りのアルバム「Lazy Afternoon」を聴いているが、とにかく歌の巧い人である。2CDの「Show Me The Way:The Columbia Anthology」がもうすぐ手に入りそうなんだ。

 続いて、Jane Siberryというカナダの歌姫登場。ジェーン・シベリーと読むらしいが、これがなんとも個性的で惹かれるものあり。k.d.langと歌った「Calling All Angels」がこれまでになくて、実にいい。じっくりおつきあいしてみることにしよう。

 1987 Walking

 1993 When I Was A Boy 「少年の日」

 1995 A Collection(1984-1989)

 1997 A Day in The Life

 2000 Hush

 2002 Love is Everything(Anthology)

 トニー・ベネットさんともデュエットしていたk.d.langは、かのマイケル・ブーブレも「全世界で最も偉大な女性シンガー」と敬愛しているとか。ベスト盤「Recollection」を聴いてみる。どうしてこんな凄い人がマイナーなんだろう。

 こうして聴きたいアルバムが次々見つかるときが一番楽しいんだな。

 

 

Wong Wing Tsan

  瞑想のピアニスト、と呼ぶのだそうな。香港出身の父と日中ハーフの母の間に神戸で生まれたウォンさんは、ジャズプレイヤー江夏健二として活動を始め、やがて即興演奏を取り入れたヒーリング・ミュージックの世界にたどりつく。今や日本のニューエイジ・ミュージックシーンの第一人者であるらしい。

 朝、この人のピアノを聴くと何とも贅沢な気持ちになる。せっかくだから朝のウォーキングの時もずっと聴いていたい。

 1994 Blissful City ブリスフル・シティ

    1996 Fragrance フレグランス

 2002 九寨溝 水のうた、森のねむり NHKスペシャルサウンドトラック

 2008 As Serene As Poetry

 2010 Serene Hill (2CD)

 2011 I Touched The Moon

 で、取り出してきたのが初代iPod shuffleである。はたしてまだ現役で使えるのだろうか。

 もちろんその当時のiMacがあればこそなのだが、古い音楽を消去して、Wong Wing Tsanの手持ちのアルバムを全部ほうりこむ。さいわい取説もダウンロードできて、今週はずっと彼のピアノを聴きながら散歩コースを歩いている。

 

グロリア・エステファン

 新顔さんもいいけれど、反動で、なじみのあるJAZZスタンダードが聴きたくなる。

 するとGloria Estefanの『Standards』2013というアルバムが見つかった。この人ののびやかなスペイン語のバラードが好きで一時よく聴いていたものだが、ラテンの女王がしっとり歌い上げるスタンダード集もなかなかいいものである。

 さらに思いがけず『Brazil 305』2020という新作まで手に入る。過去の代表曲をブラジル風にアレンジして録り直したアルバムだというではないか。

 これに全編アメリカンポップスをカバーした『Hold Me Kiss Me』1994を加えると最強のラインナップ、ただいまパワープレイ中である。

                                                                       *

 しばらくして気になるジャケットを見つけたので検索していると、『Stevie Wander Presents Syreeta』1974というアルバムを発見。なんとスティーヴィー・ワンダーのもと奥様。しかも離婚後に作られたアルバムだというから頭の中を??が駆け巡る。

 「なんだまだ子供じゃん」と思わず口をつく特徴的な声にまんまとひっかかって、しばらく後を追ってみる。

 蜜月時代にスティーヴィーの全面バックアップで完成したデビュー・アルバムが『Syreeta』1972、そして離婚後の上記アルバムに続いて、3枚めも『Syreeta』1980、想像するに、スティービーから独立して新たなデビューを目論んだようなタイトルなのだが、これがなかなか良いのですな。

 中でもBilly Prestonとデュエットした「Please Stay」が気に入って、『Billy Preston & Syreeta』 1981も聴きたくなった。Billy氏はビートルズのアルバムにもしばしば参加していて、”5番目のビートルズ”と呼ばれていたそうな。こうして知らない世界が広がっていくのは何とも楽しい。

                    *

 歌ものに飽きて、静かなピアノ曲でも聴きたくなった。そういえばアンドレ・ギャニオンってよく聴いてたっけ、と久々に流してみるけれど、どうもしっくりこない。

 そんな時、”瞑想のピアニスト”という言葉にひっかかったのが、神戸生まれのWong Wing Tsanさん。ウォン・ウィンツァンと読むらしい。日本のニューエイジ・ミュージックシーンの第一人者と言われても、初めて聞く名前だ。とりあえず名盤といわれる『Fragrance』を聴いてみると、これがなかなかいいじゃないですか。朝といわず1日流しておける音楽ってなかなかないものだけれど、これならどんな気分にも寄り添ってくれそう。

 

 

ペットボトル温灸

 なにやら不思議な"つながり"を感じることがある。

 初めてKindle本を買ったのが2月2日のこと。

 翌日、Kindle unlimitedの30日無料お試しを申し込む。

 ちょっと覗いてみたいMac雑誌や各種ムックが無料で読めるのに惹かれたからだが、隠居にとって新しいことを始めるのは常に敷居が高いものである。自分としてはちょっとがんばってみた感があったのだが、そういう時って後押ししてくれる何かの力が働いているのかもしれない。

 2月9日、書店で「古武術に学ぶ体の使い方」というNHKのテキストを見かけた。ちらと心が動いても、普通ならすぐには買わない。ところがその時はすっと手が出て、迷うことなくそのままレジへ持って行ってしまった。何を思ってこんな本を買ってしまったんだろう、と自分でも不可解な感覚が残る。

 Eテレでの放送は2回めからだった。いつも初回を見逃すんだよな、と思って番組表を見ると、ちょうど1回めの再放送があるじゃないですか。せっかくだから全回分録画してみよう、と思う。

 同じ日、八田永子さんの DVD付『ぼくれッチ』なる本をアマゾンで購入。硬式テニスボールを使った体ほぐしストレッチのテキストで、レビューもなかなか良い。このごろ肩こりが辛いので買ってしまったんだろうか。テニスボール4個とヨガブロックを発注し、百均まで自転車で厚手のソックスとヘアゴムを買いに走る。

 ヨガブロックが想定以上にでかくて困ったが、しばらく「ほぐれッチ」を続けてみる。床に寝るときはやっぱりヨガマットがほしいなあ。

 2月22日、新聞広告の若林理砂『気のはなし 科学と神秘のはざまを解く』に興味を持つ。好きだよねえ、こういう本。

 初めての著者の場合は新刊を買うとリスクが大きいので、いつもは既刊の古本を探すことにしている。というのも、隠居をスタートしてから ”どうにも読み進めることのできない本” が多くなったからである。 どうやら目の問題よりココロの問題らしい。

 すると若林理砂『痛くない体のつくり方』という本がKindle unlimitedで読み放題できるというではないか。これは有り難い。

 「ペットボトル温灸」という痛みの対処法が出てくる。水1:湯2を入れたペットボトルを患部に当てるだけで痛みがとれるらしい。早速ホット用のペットボトルを買ってこなくちゃ、と思いながら、Kindle本を読み進めると、最後の方に、「甲野善紀氏のもとで武術を学んでいた」という話が出てきたので驚いた。

 実はEテレの「古武術に学ぶ体の使い方」の監修がこの甲野善紀氏なのである。

 ああ、だからあのテキストを買うことになったのか、とここで何かがつながったような気がした。今朝はさらに同じ著者の『安心のペットボトル温灸』という本まで買ってしまった。どうもうまく言えないけれど、自分がどこかへ導かれているような気がしてくる。

 2月25日、ようやくホット用のペットボトルを購入。

 そして今朝、初チャレンジの真っ最中なのだが、1日1か所、1日2回まで、3〜5秒当てる、を3〜5回で止める、というのが思ったより難しい。せっかくお湯を入れたのだからあっちもこっちもしたいじゃないですか。でもやりすぎると”湯あたり”しちゃうのだという。もったいないので、残ったお湯をゆたんぽ代わりにしていると体がホカホカしてきた。ここしばらく冷えて痛みの出ていた膝も何となく調子がよさそうだ。

 しばらく続けてみることにしよう。

 

 

クワイエット・ストーム

 "クワイエット・ストームの貴公子"と呼ばれるKemの新しいアルバム『Love Always Wins』2020に、なんと大好きなトニー・ブラクストンとのデュエットが入っているというので、さっそく聴いてみた。引退を考えていた彼女がベビーフェイスの助けで復活のアルバム『Love, Marriage, & Divorce』を出したのはいつのことだったろう。

 するとまさかまさかのトニーの新譜『Spell My Name』が同じ年に出ているじゃないですか。おそらく人生で一番パワープレイした曲「Un-Break My Heart」はこの人のものである。全アルバムを網羅して追っかけをしていた頃が懐かしい。

 しかし、"クワイエット・ストームの女王"は残念ながらトニーさんではなく、Anita Bakerなのだという。

 クワイエット・ストーム旋風を巻き起こしたという『Rapture』1986、『Giving You the Best That I Got』1988、『Compositions』1990、『Rhythm Of Love 』1994をまとめて聴いてみる。

 最後の『Rhythm Of Love 』なんてまさに女王様の歌い方だなあ。堂々たるものである。隠居はジャケも含めて『Compositions』がお気に入りだったのだけれど、貫禄すら感じる圧倒的名盤といえばこちらかもしれない。さらに10年のブランクを経てリリースされた『My Everything』を聴かないわけにはいかなくなりましたよ。

                    *

『My Everything』は、人生経験のあれこれを乗り越えて、肩の力がいい感じに抜けた、さすがのアルバムでありました。その後、Lisa StansfieldやAnglie Stone、Faith Evans、Shirley Jones、Phyllis Hymanなど、クワイエット・ストーム系を回遊してからもう一度『Rapture』を聴くと、アニタさんの凄さがよくわかります。

 

Kindle

 『たっきーママの簡単2ステップ!オートミールレシピ』が読みたくて、初めてKindle本を買った。タイムセールで半額以下だという。タブレット1枚あればいつでも読めて自在に拡大できるのが嬉しい。早速オートミールのおむすびを作ってみる。

 ついでにKindle unlimitedの0円体験も申し込んだ。すると『土曜の朝と日曜の夜Ⅱ』が無料で読めるというではないか。前に買った「1」はずいぶんお世話になったし、ちょうど知らない音楽にも触れたくなっている時だったからである。

 そこで初めて会ったのが、Fatoumata Diawara ファトゥマタ ジャワラというマリ共和国出身のシンガー。デビューアルバム『Fatou』2011、ロベルト・フォンセカとのライブ盤『AT HOME LIVE IN MARCIAC』2016、『Fenfo』2018を聴いてみる。

 いま一番ハマっているのは、Asgeir アウスゲイルさん。「アイスランドの奇跡の声を持つ21歳の天才シンガソングライター」なんだそうな。あのBjorkを生んだ国である。2012年にデビューするや、国民の10人に一人がアルバムを持っているといわれ、「アイスランドの至宝」「国民的シンガー」ととにかく評価がすさまじい。デビュー盤とその英語バージョン『In The Silence』2013、『Bury The Moon』2020を聴く。

この世で一番美しい曲

 ボサノヴァを追い続けた先で出会ったカエターノ・ヴェローゾさん、1981年のアルバム「Outrras Palavras オウトラス・パラーヴラス」の中にそれはあった。

 わが ”この世で一番美しい曲"「Dans Monile 僕の島で」である。

 ”僕の島で彼女と二人、太陽に焼かれているってなんて心地いいんだろう” という他愛もない歌だが、えもいわれぬ幸福感に溢れていて、長い間、これこそボサノヴァの到達点、だと思っていた。

 ボサノヴァの歌姫・小野リサが「ダン・モニール」と冠したアルバムを出すほどだから、よほどの名曲に違いない。

 

 ”フランソワーズ・アルディの再来” と言われたケレン・アンなるシンガーソングライターがいる。2000年のデビューアルバムの中で歌った自作の曲「Jardin d'hiver 冬の庭」に、彼女は ”アンリ・サルヴァドールに捧ぐ"という献辞をつけた。そのアンリさんは、レジオン・ドヌール勲章をいただくほどのレジェンドだが、80歳を超えて音楽業界からは引退同然だったそうだ。

 しかしこれで焼けぼっくいに火がつくのである。

 ケレンのプロデュースでリリースされたアンリさんの新作「Chambre Avee Vue サルヴァドールからの手紙」は、とても84歳とは思えない、まさかの名盤、フランス国内だけで50万枚のミリオンセラーとなり、ALBUM OF THE YEAR、ARTIST OF THE YEARまで獲ってしまうのである。

 アンリさんはさらに2007年、「Reverences レヴァランス〜音楽よ、ありがとう」という、これまた素晴らしいアルバムを残して、翌年、90歳で亡くなった。

 その集大成ともいえる「Reverences」の中に、最愛の「Dans Monile 僕の島で」がなぜか入っている。

 クレジットを見て目が点になった。作者はアンリ・サルヴァドール、1957年の作だという。うーむ、なにか大きな間違いをしていたのかも。

 ボサノヴァの誕生は、ジョビン1958年の作「Chega de Saudade 想いあふれて」だというのが定説である。

 「Dans Monile」がそれ以前に書かれているのだとしたら、ボサノヴァの到達点などではありえない。あわててWikiのアンリさんのページを開く。

「Dans Monileは、ジョビンに影響を与え、ボサノヴァの誕生に貢献した」とはっきり書いてあるではないですか。到達点どころか、これが原点だったんだ。

 だから「Dans Monile 」をシャンソンと紹介している文章があったわけか、と今ごろ腑に落ちる。不都合な情報は簡単に無視され、こうした老人の思い込みを形成する。知らぬは隠居ばかりなり。

 それ以来、アンリさんへの敬愛が止まない。隠居の中ではやはり「Dans Monile」こそ、この世で一番美しい曲である。