2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

誤作動する脳

陽射しの中、年配の女性がやわらかく微笑んでいる。その写真の上に「時間感覚 失われても」というタイトル。ああまた認知症の記事か、と申し訳ないが瞬時にスルーしようとする。たぶん自分に思い当たるのが嫌で、脳が避けているんだろう。 写真の人は、朝刊…

オシリを洗うのはやめなさい

こんなタイトルの本の広告を見たのは2月の最終日だった。いつも読書しながら優雅な洗浄タイムを(いつもちょっぴり長めに)楽しんでいる隠居はドキッとしたのである。 オシリの洗浄・オシリ拭きの使用が逆にオシリトラブルの原因になっている、と知ってショ…

マイナンバーカード顛末

運転免許証から健康保険証までこれからはマイナンバーカードが必須、といわんばかりの喧伝攻勢に煽られて、そうなってからバタバタするのも嫌だし、とついにわが家でも申請に及ぶことになった。写真1枚あればパソコンからできるらしい。 ところがその写真1…

おやじのせなか

「おやじのせなか」という新聞のコラムで、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんが幼稚園の頃の記憶を書いている。 その日はないことに父の膝の上で絵本を読んでもらっていた。子供にとってはかけがえのない思い出であるはずなのに、幼い私は、つっかえつっ…

ボーダー二つの世界

1日たっても異界からもどってきたような感覚が抜けない、こんな映画は初めてである。まったく予備知識がないまま「ボーダー 二つの世界」(2018)を見た。正解だった。あらかじめ知っていたら初めから見ようとは思わなかったろう。 旅客が歩いてくる長い通路…

母の引っ越し

長く一人暮らしをしていた母が、少しずつできないことが増え、心細さを訴えるようになり、ついには介護付きホームに入居するに至ったのは、95歳の時でありました。ところが建物の老朽化につき、少し離れた場所に新築移転するとのこと。いやこれはたいへんな…

花子と先生の18年

歳を追うにつれて共感力をどんどん失いつつある隠居も、時にどうしたのかと思うほどエモーショナルになってしまうことがある。フジテレビ「ザ・ノンフィクション」の『花子と先生の18年〜人生を変えた犬』を見ているときのこと、何度も声をあげて嗚咽しそう…

坂之上洋子さん

自分の気持ちを見失ったとき指針にしたいと思える人に、坂之上洋子さんがいる。 始まりは、ブックオフでたまたま見つけた岩波ジュニア新書『なんにもないけどやってみたープラ子のアフリカボランティア日記』だった。著者は「栗山さやか」さん。 109のショッ…

愛と銃弾

イタリアのアカデミー賞で作品賞など5部門制覇という鳴り物入りの映画『愛と銃弾』に、2度めの挑戦。ネットでも、唐突過ぎるミュージカルと主人公の身勝手さにはついていけない、という評があるように、私も一度はしっかり挫折した。しかし今回は面白かっ…

マドンナと出会う

映画『ジェイソン・ボーン』シリーズのスピンオフ・ドラマとしてTV放送された「トレッドストーン」。ここで訓練された”セミ”のひとりとして登場したのが、ハン・ヒョジュという女優さんとの初めての出会いでありました。 北朝鮮に住む平凡でおとなしい主婦が…

しんてん

料理研究家・引頭佐知さんが広告代理店に勤めていた若かりし頃、昼休みにいつも美しいハーモニーを聴かせてくれる2人の同僚がいた。1973年、その”川口っち”と”星のっち”は「星と川」として自主制作でわずか50枚のレコードを作り、「しんてん=親展」と名付…

宿無し弘文

スティーブ・ジョブズが禅に傾倒していたことは聞いていたが、「誰に」というところまでは知らなかった。新聞の読書欄で出会った、柳田由紀子さんの『宿無し弘文』こと、乙川弘文である。 京大大学院で仏教研究を修めた超インテリ、国際布教師としてアメリカ…