愛と銃弾

 イタリアのアカデミー賞で作品賞など5部門制覇という鳴り物入りの映画『愛と銃弾』に、2度めの挑戦。ネットでも、唐突過ぎるミュージカルと主人公の身勝手さにはついていけない、という評があるように、私も一度はしっかり挫折した。しかし今回は面白かった。なにしろ監督があの『宇宙人王さんとの遭遇』のマネッテイ・ブラザーズである。こちらの体調を選ぶのである。
 宇宙人がなぜ中国語を話すのかというと、地球上で最も多くの人が喋っている言語だから、という一応筋道のたつ設定になっているのだが、最後はあまりのオキテ破りに口をあんぐり。いやはやこれほど人を食った映画もなかろうが、なぜか妙に「ワンさん」に共感してしまっている自分がいて、まんまと術中に嵌められたことに気づく。『愛と銃弾』もまた、目をつぶったまま嵌められて気持ちの良くなる映画だと思えば、ありえない場面で始まるいきなりのミュージカルにも大人笑いできる、んじゃないでしょうか。