マルコス・ヴァーリ

 「Marcos Valle Tudo - Discografia De 1963 A 1974」という11枚組のボックスセットを手に入れることができた。63〜74年にオデオンから出た全10枚のアルバムのデジタルリマスター版に、未発表音源集「Lost Sessions」1枚を加えた、ファンならずとも唾を飲み込みたくなる宝石箱である。ボサノヴァ第2世代のマルコスさんだが、”ブラジル最高のメロディメーカー”の名に恥じぬ佳曲ぞろいに、改めて唸ってしまった。

 中でも気に入ったのは2枚めの「O COMPOSITOR E O CANTOR (1965)」である。

 名曲「サマー・サンバ Samba De Verao」は知らない人がいないだろうが、年間最優秀曲に選ばれたという「Preciso Aprender A Ser So(一人でいることを学ばなくちゃ)」もいいし「Passa Por Mim」の美しさにはうっとりしてしまう。

 そのマルコスさんが70歳になったとき、50周年記念としてやってくれたのが、隠居も大好きなステイシー・ケントとのコラボレーションである。リオでのライブ盤『Marcos Valie / Stacey Kent - Ao Vivo Comemorando Os 50 Anos De Marcos Valle』(2013年)を、12枚めに加えたい。朝のBGMとしてこれほどのものがありましょうか。