中国映画「こんにちは、私のお母さん」

 どうにも魅力的とは言い難い中年の主人公、タイムスリップはお手の物の韓国映画に比べて切れ味の悪い筋立て、なんとも笑えないギャグ、と三拍子そろっているのに、なぜか見続けてしまうのは、ひとえに若き日の母を演じたチャン・シャオフェイの溌剌とした魅力ゆえだろうが、この映画、最後の最後に大化けする。派手に泣かされること必至。そしてエンドロールで、ああそうだったんだ、と目を見開き、原題の意味を知らされるというかつてない映画体験をさせてくれる。邦題の「こんにちは、私のお母さん」は訳としてけして間違ってはいないのだけれど。

 全世界で900億円という記録をたたきだし「世界最高の興行収入を得た女性監督」と讃えられるのも当然と言えようか。そしてこの女性監督が誰なのか、であなたにもほーっと長い溜息をついてほしいので、僕としてはないしょにするしかない。