捨てる1

 隠居生活に入った60の節目に、部屋の片付けを試みて本類をかなり処分して以来だから、もう10年になる。70の年に改めて断捨離めいたことをしてみようと思い立った。

 平野ノラが1日15分のお片付けを勧めていたので、それぐらいなら隠居にもできるかもしれないと挑戦してみると、今日は本棚の一番奥から保存食のビスケットが3缶も出てきた。期限は今年の12月、際どいところである。5年間、触れることもなかったんだな。

 それにしてもこの小さな部屋に、要らないものが何と多く埋もれていることだろう、と改めて感心する。前回は、まだ何かに使うこともあろうかと捨てきれなかったものたちだ。今なら、もう使うこともないだろうと思いきれる、はずなのだが、やっぱり迷う。半分くらいは捨てられるが、あと半分は捨てられない。悟ったつもりの隠居でも、執着というものは少なからずあるんだよね。

 どうしても必要なもの以外はすっきりさっぱり処分してしまいたい、というのが明日を知らない隠居の願いである。さて、どうなりますか。