はじめてのスマホ

 電話をする相手がいるわけでもないのでガラケーでさえ必要ないのだが、緊急時の連絡手段がないと困るという。それに自分でもLINEはちょっと使ってみたい。写真にも興味がある。ということで、先月の旅行を機にスマホに乗り換えることにした。最安の、いわゆる「かんたんスマホ」というやつである。

 使い方をマスターしてしまうと、しばらくはLINEスタンプの自作にハマっていた。LINEスタンプメーカーというのを使うと思ったより簡単に作ることができるのである。

昔描いた絵がスタンプになるのは何とも楽しいが、やっぱり肩が凝りはじめて、何でもほどほどにしておかなきゃというのが隠居の常套になっているのは寂しいものだね。

 そうそう、スマホを手に入れた時からもう一つやってみたかったことがあった。

 今までは初代iPodシャッフルという骨董品が朝の散歩の友だったのだが、さすがに1年も同じ曲を聞き続けると飽きてしまうし、更新するためには古いiMacを起動しなければならない。耳の横にコードを垂らして歩いているのもいかにも爺さんくさいではないか。というわけで、スマートにワイヤレスイヤホンを使ってみたい、というのがひそかな願いであった。

 ワイヤレスイヤホンは今年のクリスマスプレゼントということでリクエストした。しかし例によってアマゾンに並ぶ有象無象は、どれも似たすまし顔なので選ぶに選べない。前にスマートウォッチを買ったときのように、そこそこのものがセールで安くなっているのを狙うことにする。すると15%OFFのうえに1000円クーポンまでついている掘り出し物が見つかった。

 骨伝導イヤホンを使ったとき、耳の穴を塞がない開放感が高ポイントだったので、最新の空気伝導イヤホンというのを選ぶ。片耳4グラムの小さなクリップを耳朶に挟むだけなので、耳の奥が痒くなる弊害もないだろう。

 箱を開けて即、同期完了。スマホに入れたSpotifyという無料の音楽アプリをタップすると、たちまち耳のまわりに音が溢れ出す。装着感ゼロなので音が宙に浮いているようだ。いやー今年のプレゼントは大当たりです。

 昨日からこれをつけて朝散歩をしているのだが、大好きなトゥース・シールマンスを聴きながらの散歩は、いや実に乙なものである。実はこうして文章を打っている今も、夕食後の一刻も、今やスマホとワイヤレスイヤホンが隠居の生活を席巻しているのである。